変形性膝関節症 -歩くときの痛み-
前回の続きです。
膝関節が痛い方で問題になることが多い「歩いた時の痛み」です。
痛みの出るタイミング・場所は様々です。
現在の症状に近いものを参考にしていただければと思います。
歩き始めが痛い
- 歩いて2 3歩目が痛い
- 痛いの超えると長く歩ける
- 座って膝を曲げ伸ばししても痛くない
- 鈍い痛み方がする
足首の硬さの影響が強いと考えます。
歩き始めは何歩か歩いた後とは違い、股関節の動きが出にくい状態です。
歩くときは 足首-股関節-腰 で体重をうまく受け流していくことが大切になってきますが、歩き始めの股関節が使いにくい状態で足首が硬くなってしまうと、膝で体重を受けることになります。
足首のストレッチを行うことが大切だと思います。
歩くと痛い
歩いた際の痛みはいろいろなものがありますが、基本的には➀身体の硬さ②筋力の弱さがあることで膝の負担が増えている状態です。
前側の痛み
- 家の中等の短い距離では痛くない
- 膝の表がわが痛くなる
- 太ももの前が張る
- ズキズキする痛みではなく重い痛み
- 少し休むと痛みが減る
- 翌日には残らない痛み
太ももの前側の筋肉(大腿四頭筋:だいたいしとうきん)の負担が大きくなっています。
筋肉の使い過ぎの痛み、少し休むと回復する・ズキズキする痛みではないのが特徴です。
内側・外側の痛み
- 嫌なズキズキするような痛み
- 体重がかかると痛い
- 歩きすぎると翌日に痛みが残る
- 歩いている時に休むと痛みは引くが、完全には引かない
- もう歩きたくなくなるような痛み
- 歩きすぎると腫れることがある
膝関節自体の痛みです。
体重がかかった際に膝関節にかかる負担が増えていると考えます。
痛みがひどい・腫れがひどい場合は、運動として歩くことをとりいれるのはあまりおすすめしない状態です。
前側の痛み、内側・外側の痛みも出ている症状は違いますが、身体の硬さの改善・筋力の改善で痛みを減らすことは可能だと思います。
➀身体の硬さ
膝関節が痛い方は、足首>>>背骨>股関節 の割合で身体が硬くなっている印象です。
足首の柔らかさは、足を筋肉ではなく骨で身体を支えやすくしてくれます。
筋肉で身体を支えるのはエネルギーを使いますが、骨での支えはエネルギーを使わず、それぞれの関節の負担がかかりにくい形で支えてくれます。
骨の支えを使って歩けると疲れにくくなりますよ。
背骨の柔らかさは、頭・両腕・胸・お腹の体重の半分以上はあるであろう重さを、足の支えやすいところにもっていってくれます。
腕を伸ばして物をもつのと、腕を曲げて物をもつのでは重さが違いますよね?
背骨の硬さは足に対して、「腕を伸ばして物をもつ」状態になっています。
背骨をやわらかくして足を負担を減らしていきましょう。
股関節や肩甲骨はストレッチとして注意している方も多い印象ですが、足首・背骨も動く上では大切です。
とはいえ、やりやすいところからでも良いので柔らかい身体を作りましょう。
②筋力の改善
膝の痛みのある方の筋トレをみていると、太ももの前の筋肉の大腿四頭筋(だいたいしとうきん)を鍛えるものが多い印象ですが、それ以上にお尻の筋肉が大切だと思います。
お尻の筋肉を鍛える運動にはスクワットもありますが、膝の痛い方には負荷が強いことが多いのでおすすめしていません。
膝の負担を考えると、「ブリッチ」がよいかと思います。
検索してもあまり良さそうなものがなかったので、簡単にですがブリッチのイメージです。
この運動で膝に負担がかかる感じがする場合は、膝の間に厚く畳んだバスタオルを入れてみてください。
筋肉の使い方が変わってくると思います。
膝関節は足の真ん中にある関節なので、他の関節からの影響を受けやすい部分です。
痛みのある部分だけではケアが不十分になってしまうので、身体全体の調整を行うつもりで身体のケアをしてもらえると良いかと思います。
※すべての運動に言えることですが、ストレッチも筋トレも「ズキズキする」・「うずく」ような、嫌な痛みのない範囲で行ってください。嫌ではない刺激の感覚であれば辛くない範囲で行って大丈夫です。
痛みは良くない刺激の合図です。どうか、無理はしないでくださいね。
膝関節が強い痛い方で、「痛くても歩かないとダメなんでしょ? リハビリが痛いのはしょうがないんでしょ?」と歩いている方がいました。
リハビリの世界も大きく変わってきていて、ひどい痛みのあるリハビリはもうほとんどないんじゃないかと思っています(手術後すぐは例外ですが・・)。
痛みがひどい時は無理されないでくださいね。