理学療法士の仕事
何の仕事なんですか? ー リハビリの仕事です!
理学療法士の名前はだいぶ知られているようで、プライベートで会う方の半数くらいの方はなんとなく仕事の内容を知っているんだなぁという感覚があります。
ですが一般的なイメージと、実際に行っている仕事内容には大きく違いがある印象です(どの職業もそうかもしれませんが・・)。
私が考える病院勤務の理学療法士の仕事と、その他の人の身体をさわる仕事との違いを紹介していきます。
理学療法士の仕事
患者さんをマッサージしたり、
患者さんと体操したり、
患者さんと一緒に歩いたり、
とのイメージが強いかと思いますが、理学療法士の仕事は患者さんと一緒に運動することではありません。
理学療法士の仕事は、「運動を通して治療すること」です。
理学療法士は新生児~終末期まで関わることができるので、働く科によって違いはありますが、基本的には治療することが目的です。
私はその場でのみ身体をよくすることが治療ではなく、よい状態を維持できるような身体にすることが治療だと思っています。
マッサージも体操も一緒に歩くのもそれ自体が目的ではなく、その運動を通してその患者さんの身体を治療するのが理学療法士の仕事です。
いま私が働いている、外来のみの整形外科だと特にその色が強いように感じます
理学療法士の行う仕事にマニュアルはありません。
患者さんの多様な症状に合わせ、自分で治療を組み立てています。
解剖学・運動学・生理学というヒトの基本的な部分の知識から、患者さんの症状を照らし合わせ痛みを出している原因を探していきます。
症状の出かたで原因は変わってきます。
その方のこれまでのケガ・ご病気の影響でも身体は変わってきます。
その方の生活習慣でも身体は変わってきます。
なので、私は患者さんにたくさん質問します。
いつ痛い? これまでのケガ・ご病気は? お仕事は? 趣味は?・・
など、治療に関係あるんですか?と聞かれることもありますが、その方の身体のエピソードを把握することはとても大切だと思っています。
もちろん、雑談もしますよ!
雑談の中に治療の大切な情報が引き出されることも多くありますしね。
「自分の頭で考えて自分の手で触ることで患者さんの痛みを取れる」
私はとてもやりがいのある仕事だと思っています。
人と関わるのも好きなので、働いていてすごく楽しいです!!
始めは痛くて表情が暗かった患者さんが、痛くなくなりました!!って明るい表情に変わるときが一番嬉しいですね!
ただ、仕事でストレスになることがあります。
それは、患者さんの身体を思ったようによくできていない時です。
患者さんから身体が変わらないと言われるものではなく、自分でよくできていないと感じる時がすごくもやもやします。
その時にはまた勉強します。また考え直しをします。
それを繰り返していくとよくできる患者さんは多くなっていきます。
また、これまでより早く患者さんをよくできます。
考えることを止めて働いてはいけない仕事かなと思っています。
似ている仕事との違い
いま人の身体にさわる仕事はたくさんありますよね。仕事内容と一緒によく何が違うのかと聞かれるので、まとめてみました。
柔道整復師
理学療法士との大きな違いは自分で診断して応急処置ができる・働ける分野の違いだと
思います。
- 自分で診断
私たち理学療法士は「医師の指示のもと」で働くため、自分たちで診断することはできませんが、接骨院の柔道整復師は捻挫・脱臼等の診断を付けることができます。
- 応急処置
脱臼した肘を入れる、骨折部を整復する・ギブスで固定する等のことは理学療法士はできません。
- 働ける分野
柔道整復師はケガがメインの仕事のため、接骨院・整形外科がメインです。
理学療法士はケガの処置後の方はもちろん、病気の方のリハビリにも関われます。
脳・心臓・呼吸・糖尿病・内科・小児等、病院勤務だけでも多くの分野があります。
柔道整復師がマッサージを行うことも多い様ですが、おそらく診断したことに対するものだと思います。
鍼灸師
鍼灸師との大きな違いは、鍼灸師は東洋医学をもとに、理学療法士は西洋医学をもとにしていることです。
なので鍼の治療の背景や組み立ては私はよくわかりません。
ですが、効果のある方はすぐ効くと言いますよね。
リラクゼーション店
駅ビルなどにあるマッサージと何が違うの?と聞かれることがありますが、マッサージは資格が必要な仕事なので、おそらくマッサージを連想するリラクゼーションのお店のことだと思います。
そのようなリラクセーションのお店との違いは、その場の辛いものを対処的に楽にするか、その辛いものを根本的に治療するかだと思います。
- 対処的
リラクセーションのお店は、仕事が忙しくて・歩きすぎて身体が疲れた等で行く方が多いのではないでしょうか。足が疲れていたら足のリラクゼーションを中心に行うかと思います(私自身そういうお店に行ったことがないので聞いた話ですが・・)。
- 根本的
理学療法士はその場の辛いものにアプローチするのではなく、原因を探していきます。
片足の裏側がちょっと張ったような感じがする、という症状の方に足を確認でさわりますが、患者さんに説明し症状の原因と思われる腰を中心にさわったりします。
元のご病気・ケガによっては完全に症状を出さないことが難しい場合もあります。
また、痛いところもマッサージして欲しいという方には軽くマッサージを行う場合もあります。
私がよく聞かれることはこのくらいです。
同じく人の身体にさわる仕事ですが、少しずつ目的が変わってきます。
これから理学療法士になる方・新人理学療法士の方へ
すごくやりがいのある仕事ですが、やりがいに繋がるまで私は辛い想いもたくさんしました。
特に、以前働いていた脳外科で新人の頃はずっと
- 私が担当していなかったらもっと良くなるんじゃないのかな。
- 私のせいでこの患者さん・・。
- 自分に力がないから・・。
- もっともっと勉強しなきゃない・・。
と何度も何度も何度も思いました。
なんて責任のある仕事についてしまったんだろう、私なんかは辞めた方がいいのかな、と治療する責任が辛いことがありました。
本当に辛かったです。
本当に辞めようかと思いました。
でもあるときに、力のない自分を責めるだけじゃ何も成長しないと思いました。
歯を食いしばって、良くできなかった患者さんへの気持ちを絶対に忘れないで、いまの患者さんに繋げようと。
そこから自分で積極的に勉強を始め、自分の頭で考えていけるようになりました。
私の勉強に付き合ってくれて、自分で考えて行くことを支えてくれる先輩がいたおかげもあって、いまの自分がいるなと思います。
私の過去のような想いを抱えている理学療法士の方がいたら、一緒にがんばりましょう。
どうしてもどうしても疲れてしまったら辛くなる前に働き方や分野を変えましょう。
理学療法士の仕事の責任をちゃんとわかっているほうが、私はいい理学療法士になると思っています。
よりよい理学療法士になるよう、がんばります!