歩くこと:効果的な運動ですか?
運動することは大切です。
その選択として歩くことは手軽で取り入れる方が多いのではないでしょうか?
ただ、歩くことは身体に「効果的な」運動になるのでしょうか?
歩くこと
歩くことは全身運動として多くのメリットがあり、運動機能だけでなく認知機能面でもメリットがあると言われています。
メリット
- 全身血流の改善
- 心肺機能の維持
- 筋力・関節の可動性の維持
- カロリー消費
- 視覚・嗅覚・聴覚等への感覚刺激
- ルートの想起と決定
- リフレッシュ
..などの多くのメリットがあると思います。
私も時間があるときは電車・自転車等を使わずに歩くようにしています。
天気のいい日にちょっと歩いたりすると、なんとなく気分もすっきりしていいですよね。
効果的な運動?
ですが、普通に歩くだけでは筋力・関節に関しては維持が目的になってしまいます。
現状維持であれば歩くことでもよいのですが、
「歩くことで身体(筋力・関節の動き)をより良くしよう!」
というのはちょっと難しいかもしれません。
歩くことはトレーニングになるのか?
私は歩くことでは弱い筋肉のトレーニングにはなりにくいと思っています。
おそらくほとんどの方が差はあれど毎日歩いていますよね?
通勤・通学、買い物、家の中で等、日常生活の中で歩く機会はあると思います。
日常生活上で弱い筋肉がある=日常的に使えていない筋肉
が弱い筋肉の正体です。
筋肉を使わなくても歩ける?
歩き方は変わりますが、理論上は大腿四頭筋(太ももの前側の筋肉)や大臀筋(お尻の筋肉)が使えなくてもヒトは歩けます。
一部の筋肉を使わなくてもヒトは歩けるんです。
日常生活の歩く中で筋肉を使えていない理由は、
- 身体の硬さにより関節の動きが出ていない
- 姿勢が悪い、または反りすぎていて身体の筋肉が使いにくい
- 骨格の違いがあり、使いにくい筋肉がある
など、いろいろな要素が相まっていることが多く、断定は難しいものです。
ですが、言えることは日常生活の延長の歩行では、弱い筋肉のトレーニングは難しいということです。
トレーニングのためには
弱い筋肉は普段の生活で使えていない筋肉なので、個別に筋トレするのがおすすめです。
下半身の全体的な筋トレであれば、痛みがなければスクワット等が手軽でよいかと思います。
歩くことでは弱い筋肉のトレーニングは難しいです。
運動として歩くことを取り入れている方は、「何のために歩くのか」を一度考えていただけると良いかと思います。
歩いて痛み出ていませんか?
多くの患者さんによく、
「痛くても歩いた方がいいんですか?」
と聞かれますが、歩いてズキズキ・疼く・痺れがでる等の痛みの方は、あまりおすすめしません。
痛み・違和感は負担がかかっている信号
歩く速さが変わらない程度の痛み・痛みまでいかない違和感・いつも同じところが張る等の方は、歩くことが少し体の負担になっていると考えていただけると良いかと思います。
基本的に痛みは身体に良くない刺激です。
その状態で歩く時間・距離を延ばすことは身体に良いものとなるでしょうか?
痛くない歩行のために
歩いて痛み・違和感の出る方は、歩くことで身体の一部にかかっている負担を減らしていくことが必要です。
家の中でできるストレッチ・筋トレを行いながら、無理のない範囲で歩くことがよいかと思います。
歩く距離・時間を延ばす際は、
- 歩いている時の痛みがなくなる
- 歩いた後の特定の部位が張ることがなくなる
- 部分的な痛み・疲労感が続かない
など、身体と相談しながら徐々に変えていくことがよいと思います。
無理していませんか?
患者さんのなかには、
「痛くても歩かないと!(‥歩けなくなってしまうのが心配)」
という方がいらっしゃいます。
ご家族で無理をして歩いている方はいませんか?
お気持ちはわかります。不安な気持ちはありますよね。
ですが、歩くことも含め、運動はがむしゃらにやれば良いものではありません。
無理な運動はケガだけでなく、その無理からきた痛みが出てくることもあります。
他の方と比較するのではなく、ご自身の身体と相談していくことが大切です。
痛みが出ている中で運動として歩いている方も、「何のために歩くのか」を一度考えていただけると良いかと思います。
効果的な運動
「たくさん歩きましょう!」
「一日一万歩を目標に歩きましょう!」
など、歩くことが推奨されることはよく見かけます。
歩くことでのメリットはたくさんありますが、「効果的な」運動として歩く場合はいかがでしょうか。
運動は手軽に行えます。
いまはインターネットではもちろん、テレビでも健康番組等が多く情報は入りやすいですが、適切に効果的な運動をするには情報・注意点についてはまだ不十分だと思っています。
運動は手軽にできますが、ちゃんと行うのは難しいことです。
今ある情報を活かしながら、運動の意味・目的を考えながら、ご自身の身体と相談していけるといいですね。