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脊柱管狭窄症-手術後-

 

脊柱管狭窄症は痛みやしびれが強く、手術する前の症状が大変だった方がほとんどだと思います。

特に強い痛みを持っていた方が多いのではないでしょうか。

手術をすることで痛みがなくなった・減った事は本当に何よりだと思います。

痛みがない生活はほんとに楽ですよね。

 

ただ、再発の可能性があることもご存知ですか?

手術をすることで負担がかかっていた神経の圧迫は取ることができます。

ですが、神経に負担をかけていた理由は手術では取れないことが多いです。

再発予防や今後の体の負担も考え参考にしていただければ良いかと思います。

 

 

 

なぜ神経の圧迫が起こったのか

 

脊柱管狭窄症のしびれ・痛みは、神経の通り道が狭くなることで起こることが多いです。

神経の通り道が狭くなる理由としては、椎間板・靭帯等の組織の影響と神経を囲んでいる骨の背骨の硬さ・動きすぎが大きな理由と考えます。

普段の動きや姿勢の中で、無意識のうちに背骨に負担をかけてしまっている方におきやすいものと考えます。

そのため手術で神経圧迫を取り除いても、普段の動きや姿勢が変わらなければ同じような症状が出る可能性が高いかと思います。

何名かですが、脊柱管狭窄症の再手術でまた入院をする方を見てきました。

当時は正直なぜだかわからなかったんですが、今整形外科専門で働いていると見えてきたものがあるので、ぜひ知っていていただきたいと思います。

 

背骨に負担がかかる理由

 背骨は個々の関節の小さな動きの複合で「大きな動き」を持っています。その大きな動きを持ちながら「身体の安定性」にも重要な役割をもっています。

大きな動きと安定性の二重の機能が必要になっています。

 

体の硬さによる背骨の負担

背骨は25個の骨からなり、柔軟性に富んだ動きが可能な部分です。

「猫の丸まった姿勢」とまではいきませんが、ヒトの体も関節が一つ一つ動くことで柔らかく、しなやかな動きをする部分です。

 

そのしなやかな動きをする背骨に硬さができてしまった場合、それでもその身体は動きます。

硬さも何事もなかったかのように動きます。

それがヒトの身体の優れている点ではありますが、背骨の動きのバランスは徐々に崩れてきます。

硬さができたことによって動けない部分と、硬さを補おうとしていま以上に動く部分外出てきます。

反対に、過剰な使いすぎ(反り腰等)によって動かなくても良い部分ができ、長い目でみるとそこが硬さとして出てきます。

動きのバランスが崩れることによって、骨の動きが制限もしくは過剰に動いてしまい、背骨の中の神経にまで影響すと痛みとして症状が出てきます。。

そのため、背骨の硬さを感じている方は、背骨のストレッチをお勧めします。

 

曲げ伸ばし・左右の横に倒す・左右に回すと言う6つの動きがあります。

その動きを出すようなストレッチをしておくことが大切です。

 

なお、手術で金属を入れている方で、担当医から気をつける動き等の指摘のある方は無理に動かさないようにしてください。

動かした際に神経痛のような嫌な痛みが出る方も同様に気をつけてください。

 

 

筋力の弱さによる背骨の負担

 

人の体は構造上体幹の筋力が必要になっています。

体幹の筋力の弱さが起きると、本来筋肉で支える部分の重さが背骨に負担となってきます。

その重さは背骨に負担をかけ、関節の硬さや動きすぎを誘発します。

それによって神経の圧迫を起こしてしまいます。

 

手術をすると痛みは取れますが、今の体の筋力の弱さは変わりません。

痛みがないだけで、潜在的にかかっている腰の負担も変わっていません。

手術した後であれば、運動することでの痛みは強くないと思うので、いま筋力をつけて背骨にかかっている負担を減らすことが大切だと考えます。

 

体幹筋力と言うと、頭を上げるような腹筋・背中をそらすような背筋と考える方が多いと思いますが、姿勢を保つ筋肉は大きな動きでは力が入りません

姿勢を保つことが目的なので、身体の動きが大きく伴わない運動が必要になってきます。

私がおすすめしているのは、「ドローイン」のような呼吸を用いたトレーニングです。

(ドローインの詳細は検索で出てきます。)

最初は寝ているところから行っていただき、感覚がつかめてきたら立った状態や歩いてる状態で行えるとよいと思います。。

より慣れてきたら、お腹に力を入れた状態で頭を上げるような腹筋を行い、徐々に負荷を上げていってもらえることが筋力の向上につながります。

 

ドローインでは体の奥にある腹横筋(ふくおうきん)・多裂筋(たれつきん)という筋肉が 働きます

腹横筋・多裂筋は体の奥の、骨に近い部分についているため、鍛えたからといって身体の表面にわかるような変化はあまり出ません。

ですが、動いたときの疲れにくさは変わってきます。

私は予防目的に体幹筋のトレーニングを日常的に行っていますが、1日働いても1日歩き通しても軽い疲労感はありますが、特別どこかが痛い・辛いなどは感じません。

日常の中で体力的に「疲れた」と感じることはほとんどなく、学生の頃より体力があるように感じています。

体幹の筋力がつくと1日の中で動け量が変わってくるので、自然に運動量も上がってきたように感じます。

 

体幹筋力は意識をしないと落ちていきやすいものです。

脊柱管狭窄症で手術をされた方は、背骨の近くの股関節等にも負担がかかっていることが多いです。

体幹筋力をつけることで、背骨自体の負担も減らすこともできます。

身体の重さを体幹で支えられることで、他の関節にかかる負担変わるので他の関節の予防にもつながります。

できるところからで良いので、長く長く続けてください。

一番難しいですが、やっぱり継続は一番大切です。

 

 

 

 

脊柱管狭窄症の患者さんで「親も同じで、遺伝だから」や「年齢もあるからね」という方もいます。

なりやすい遺伝子や年齢を重ねた影響はあると思います。

ですが、それだけではないと思います。

 

起こることには原因があります。

できることは改善して、自由に動ける身体にしていきましょう。