膝の痛みがある方へ -歩くとき以外の痛み-
膝関節は痛みの出る方が多い印象です。
「膝が痛い」と一口に言っても、いつ・どこが・どのように痛いかで原因は大きく変わってきます。
痛みの出かたが近いものを参考にしていただければと思います。
また、変形性膝関節症や半月板損傷、靭帯損傷等の診断名がある方もいらっしゃると思います。
同じ診断名でも出る症状は異なってくるため、診断名に関わらず症状から考えています。
何もしていないのに痛い
座っている・横になっている(膝に体重がかかっていない)状態で痛い
■ずっと同じように痛い
- 座りはじめから10分後も変わらす同じように痛い
- 膝のお皿の周囲が痛い
- ズキズキするような痛み
- 膝が熱を持っている・腫れている
- 痛いところを押すと痛みが強くなる
- 座った状態で膝を動かすと痛みが増す or 変わらない
安静が必要です。
何らかの理由で膝に負担がかかり組織に傷がついていると考えます。
熱を持つ•腫れる症状が強ければ氷水等で冷やしても良いと思います。
あまりにも痛い・痛みが2‐3日間変わらない(軽減しない)等の症状であれば、早めの病院受診をおすすめします。
明らかに捻った・ぶつけた等の原因がある方は安静にしていれば症状は改善してくると思います。
明らかな原因がない方で、歩行後に痛くなった方は歩くことで膝に負担がかかっている可能性があります。
あとで書くの「歩いて痛い」も参考にいていただければと思います。
■時間が経つと痛くなってくる
- はじめは痛くないのに同じ姿勢をとっていると痛くなる
- 痛みの範囲が広い(手のひら以上の範囲)
- 痛みのある場所を押しても痛くない
- 膝の表(お皿側)より裏•外側が痛い
- ズキズキする痛み方ではなく、奥に鈍いような嫌な痛み方がする
- 姿勢を変える•少し動くと痛みが減る
神経痛の可能性があります。
背骨が硬くなったことで神経を刺激し痛みを出している可能性があります。
硬くなった背骨が動き出すことで神経への刺激を減らすことができます。
ご自身の知っている運動でよいので、背骨•肩甲骨周りのストレッチをおすすめします。
また、座っていて痛みが出る場合には体幹の筋肉の弱さも影響していると思います。
ストレッチと一緒に体幹(インナーマッスル)の筋肉を使うようにしましょう。
体幹を使うには、座っている間姿勢を気をつけることが大切です。
姿勢を気をつける時は、「背筋を伸ばす」だと背骨の動きを小さくしてしまうので、おすすめしません。姿勢は「お腹に力を入れる」というのがポイントです。
この姿勢はもちろんずっとは続きません。
テレビCMのたびに等、なにか気にするきっかけを持つことが長い目でみて継続できるかなと思います。
姿勢の他に体幹筋力を付ける運動としては「ドローイン」で出てくる運動が良いかと思います。
取り入れやすい方をやってみてください。
立つと痛い
立ち上がり動作・立ったままでいるのが痛い
■立ち上がりで痛い
- 座っている状態では痛くない
- 座った状態で膝を曲げ伸ばししても痛くない
- 立ち上がる時が痛い
- 痛みや鈍い痛み or やや鋭い
- 痛みの場所はいつも同じ
- 立ち上がった後歩くのは痛くない
股関節・足首の硬さの影響が膝にでていると考えます。
立ち上がりは関節によっては歩くとき以上に関節の柔らかさが必要になります。
股関節・足首の動きが硬いために、膝関節に必要以上に負担がかかる場合があります。
膝周りのマッサージや筋トレではなく、股関節を内側に捻った(つま先が内側を向く)状態で股関節を曲げる運動・つま先を上にあげる運動・足首を回す運動等が良いかと思います。
■立っていると痛くなる
- 立ちっぱなしが痛い
- 歩くのはあまり痛くない
- 痛い部分が裏側か外側
- 痛みの範囲が広く、太もも・ふくらはぎまで痛くなる
- 鈍く奥が痛いような痛み
- 軽くしびれる感じがする
- 動き出すと痛みが減る
神経痛の可能性があります。
座っていても痛い方・立っているときだけ痛い方では原因が異なります。
●座っていても痛い
「何もしなくても痛い」ー「時間が経つと痛くなってくる」と同様に背骨の硬さが影響していると考えます。
立っている状態・座っている状態で痛みの強さ・範囲は変わりありませんか?
<立っている方が痛い>
背骨を伸ばす動きが硬い方が多いです。
床に座り可能であればあぐら等の股関節を開いた状態で、骨盤を動かさないようにしながら背骨を伸ばす方向にストレッチしてみてください。
<座っている方が痛い>
背骨を曲げる動きが硬い方が多いです。
イス・床に座った状態で骨盤と一緒に背骨の曲げ伸ばしをしてみてください。
●立っている時だけ痛い
股関節や足首の硬さによって立っている姿勢が腰に負担をかけていることがあります。
膝が痛くなる側の股関節と足首を柔らかくすることが大切です。
またその方によっては、お腹に力を入れておくことで痛みを減らせる方もいます。
その方は体幹の筋力をつけても痛みを減らすことは可能と考えます。
ですが、体に硬さがあると将来的に近い症状が出てくる可能性があるため、股関節と足首のの柔らかさを作っておく事は予防として大切だと考えています。
しゃがむのが痛い
■しゃがめない
- 膝の内側か外側が痛くてしゃがめない
- 座った状態•寝た状態で膝を曲げた時に痛みがある
- 膝が完全に伸びない
- 膝を曲げた時にかかととお尻がつかない
膝関節自体の動きが硬くなっていて痛みを出していると考えます。
膝関節の骨の動きを正確に出すことは難しいため、膝の裏のマッサージが良いかと思います。
膝の裏をマッサージしながら、少し膝関節の隙間を作るようなつもりで軽く引っ張ってもらえると、軽い硬さでしたら改善する可能性があると思います。
引っ張った時にズキズキするような痛みが出た場合はあまり無理はしないようにしてください。
■しゃがんでいると痛くなる
- しゃがんだ時に足首の前側が詰まるような感じがする
- しゃがみはじめは痛くない
- しゃがんでいるとお皿の前が張ってくるorすねの前が張ってくる
- かかとを上げてしゃがめば痛くなくできる
- しゃがむ以外ではほとんど痛くない
足首の硬さが膝に影響していると考えます。
つま先を上に上げる動きが硬くなると、しゃがんだ時に膝で体重を受けることになります。
つま先を上げるストレッチをお勧めします。
アキレス腱伸ばしのようなイメージの運動で良いかと思います。
ふくらはぎが伸びている感覚がない場合は運動が正確にできていないことがあるので、手順を確認していただけると良いかと思います。
寝ている時に痛い
■寝返りで痛い
- 普段歩いている時も少し痛みがある
- 膝が深く曲がらない、または完全に伸びない
- 寝付けないほどでは無いが、寝始めも痛い
膝関節自体の硬さと組織に軽い炎症がある可能性があります。
寝るときは膝が完全に伸びる方向に力がかかるため、それが負担となり痛みを出すことがあります。
寝る際に膝が完全に伸びないよう、膝下に丸めたバスタオルやクッション等を入れてみてください。
バスタオルやクッションを入れて痛みが改善した場合でも、膝に負担がかかりやすい体となっている場合があります。
できる範囲で良いので、股関節•背骨•足首のストレッチを行うことが今後の予防に大切になると考えます。
■じっと寝ていて痛い
- 寝始めは痛くない
- ズキズキするより鈍い痛みがある
- 痛みの範囲が広い(手のひら以上)
- 膝を動かして痛みはない
- 膝を伸ばして仰向けに寝た状態で、腰に両手を入れると腰の下で手がつく
- 腰を痛めた経験がある
- 首が凝りやすい
神経痛の可能性があります。
仰向けが腰に負担のかかりやすい姿勢になっており、じっと寝ている間に腰に負担をかけていると考えます。
仰向けに寝る際、腰に持ち上げられない程度のバスタオルを入れてみてください。
仰向けになった際に腰が浮いてしまう方は、日中の姿勢が反っているか背筋を使いすぎていることが多いです。
気づいた時で良いので、普段からお腹に力を入れるようにしてみてください。
長くなってしまったので、歩いた時の痛みについては分けて書きます。
膝関節の痛みは特に、膝関節自体の痛みがある方より他の関節から負担がかかって痛みが出ていることが多いような感じがしています。
身体の動きのバランスが崩れた状態が長くなると「何もしていないのに、気が付いたら痛みが出た」ということになりやすいと思います。
膝関節以外の関節でも、痛い部分以外を動かすことで痛みが軽くなる方はたくさんいます。
辛くない範囲のできる運動から行ってみてください。
いま痛みがない方でも、その運動は予防となり将来の身体を助けてくれると思いますよ。
※すべての運動に言えることですが、ストレッチも筋トレも「ズキズキする」・「うずく」ような、嫌な痛みのない範囲で行ってください。嫌ではない刺激の感覚であれば辛くない範囲で行って大丈夫です。
痛みは良くない刺激の合図です。どうか、無理はしないでくださいね。